本田40式認知特性テストの結果から技術の学び方を考える

おことわり

  • 認知特性テストの有効性に関する心理学論文がきちんと存在するかまでは確かめられていません。
    • 知ってる人がいたら教えてほしいです(気になる)
  • 正確なテストかわからないので、この結果だけで職種の向き不向きを決めつけることはできません。
  • 参考にする程度がちょうどいいと思います。

本田40式認知特性テストをやってみた

こんにちは。りまりま団のもふもふです。

とても尊敬しているきりみんちゃんのマネージャーさんのツイートを見て、私もやってみました。

設問を読んで当てはまるものを選択すると、認知特性の傾向を判断できるテストです。

テストを作成した本田先生の著書『医師のつくった「頭のよさ」テスト~認知特性から見た6つのパターン~ (光文社新書) 』によると、認知特性とは

外界からの情報を頭の中で理解したり、整理したり、記憶したり、表現したりする方法

と定義されています。物事を受け止めて自分のものにするとき、どのような思考をとるかは人それぞれなのですね。 思考の癖を調べてみましょう、というテストです。

ここからテスト用のExcelをダウンロードできます。

micri.jp

テスト結果

さっそく、私のテスト結果を出します。

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テスト結果

  • カメラタイプ 29
  • 3Dタイプ 40
  • 読んだり聞いたりした言葉を映像化してから思考するタイプ 21
  • 文字や文章を読んで、そのまま頭の中で再現するタイプ 6
  • 文字や文章を、音として耳から入れて情報処理するタイプ 23
  • 音色や音階といった、音楽的イメ-ジを脳に入力するタイプ 31

文字や文章を読んで再現する、の項目が壊滅的です。一番優位性があるのは3Dタイプというところでした。

テスト結果に対する考察

この結果について考察してみます。

『医師のつくった「頭のよさ」テスト~認知特性から見た6つのパターン~ (光文社新書) 』では、認知特性は3つのタイプにわかれているとありました。

  1. 「見た情報」を処理するのが得意(視覚優位者)
  2. 「読んだ言葉」を処理するのが得意(言語優位者)
  3. 「聞いた情報」を処理するのが得意(聴覚優位者)

1つのタイプに2つずつ属性があり、全部で6つの認知特性に分かれるのではないか、というのが本間先生の主張です。 テスト結果に記述されている「〇〇タイプ」は、認知特性に名前をつけたものなのでしょう。

  • カメラタイプ
    • 写真のように2次元で思考する
  • 3Dタイプ
    • 空間や時間軸を使って3次元で思考する
  • 読んだり聞いたりした言葉を映像化してから思考するタイプ
    • 文字や文章を映像化してから思考するタイプ
  • 文字や文章を読んで、そのまま頭の中で再現するタイプ
    • 文字や文章を図式化してから思考するタイプ
  • 文字や文章を、音として耳から入れて情報処理するタイプ
    • 文字や文章を耳から入れる音として情報処理するタイプ
  • 音色や音階といった、音楽的イメ-ジを脳に入力するタイプ
    • 音色や音階といった、音楽的イメージを脳に入力するタイプ

これを踏まえ、先ほどのテスト結果を再度確認します。

  • カメラタイプ 29
  • 3Dタイプ 40
  • 読んだり聞いたりした言葉を映像化してから思考するタイプ 21
  • 文字や文章を読んで、そのまま頭の中で再現するタイプ 6
  • 文字や文章を、音として耳から入れて情報処理するタイプ 23
  • 音色や音階といった、音楽的イメ-ジを脳に入力するタイプ 31

私は「空間や時間軸を使って3次元で思考する」ことが一番得意で、「文字や文章を図式化してから思考する」ことが一番苦手なようです。2番目に「音色や音階といった、音楽的イメ-ジを脳に入力するタイプ」がきているのは、絶対音感を持っていることが要因と考えられます。

言われてみると、公式ドキュメントや本を読んですぐ理解するのは苦手です。これは論文や論説を読むときも同じです。 コードや実装内容を追いかけるのも苦手ですし、コードを見ただけでは何が書いてあるのかわかりません。 技術同人誌や技術の本を買っても、読み終わるのにはかなりの時間が必要です。資格試験の勉強も苦手です。

しかし、作業工程を整理して実行することは得意です。いつ、どんな相手と何を話したか・何をしたかはすぐ思い出せます。 過去作業した内容を思い出してなぞることができれば、短い時間で仕事を終わらせることができます。 加えて、アニメや演劇・映画は頭の中で自由に再生して楽しめます(本物を見ろ)。

情報技術を学ぶ上で、「文章を読んで図式化して理解するのが苦手」なのはかなり致命的な欠点です。 実際、新しい技術を覚えて使えるようになるまで半年程かかっています。

技術が変わるとまた半年間かけて覚え直し、やっと初学者並みの実力になっているのではと感じています。

文章を読んでそれを抽象化するのが苦手な人は、どうやって技術を学んでいけばいいのでしょうか?

自分の思考のくせと付き合いながら技術を学ぶ

テスト結果から、頭の中で図や映像・音が再生できれば物の理解がしやすいのではと推測できます。 ここから、新しいことを学ぶ方法の作戦を考えます。

まず、頭の中に映像を作ることを優先して考えます。

例としてVuexを使います。概念が複雑で、初学者がつまづきやすい技術です。ちなみに、絶賛つまづき中です。

vuex.vuejs.org

動画の解説をみる

YoutubeでVuexを検索すると、解説動画が結構出てきます。

www.youtube.com

試しに、この動画を8分ほど見てみました。Vuexの概要を説明して環境構築する解説でした。後半では実際にコードを書いていくようです。

youtu.be

Vuexの概念・処理の流れは、何回公式ドキュメントを読んでも「???」となって全く理解できていませんでした。 しかし、動画をみた後はState・Mutation・Actionの役割が頭の中に思い描けます。ActionでMutationの処理を呼び出してStateの値を変更するフローも理解できました。

ここから、私は3次元の情報源で作業の流れにそって技術について知るのが良いのではないか、と仮説を立てました。

頭の中に映像ができてしまえば、公式ドキュメントを読むとき映像と照らし合わせて読み進めることができます。 文字をそのまま理解するのは苦手ですが、頭の中の映像と答え合わせをする感覚で読めば文字を理解できるからです。

どうでもいいんですが、技術の動画解説って日本語の物が圧倒的に少ないですよね。Udemyやドットインストールくらいしか思いつかないです。テック系Youtuber的な人は多そうなんですが、謎です。

技術の概要を図におこしてみる

「図を書いたとき」の記憶を頼りに技術に対する理解と知識を身に付けられるのではないか、と仮説を立てました。

人間の記憶は長期記憶と短期記憶に分かれており、ずっと覚えている記憶を長期記憶といいます。 長期記憶としてものを覚えるためには、「自分で能動的に何かしてみる」ことが有効(歩きながら声に出す、絵を書いてみる…など)と大学で学びました1。実際の生活で試してみる機会に恵まれたと言えるでしょう。

実装や処理の流れを図におこしてみる

概念が理解できたとしても、実装できなければ意味がありません。 実装を3次元的に捉えるためには、これを作業工程として捉えるのが良いのではないか、と仮説を立てました。

具体的には「A→Bの順番に実装し、Cが出れば終わり」と作業工程を図におこし、その流れに沿って実装します。

何回か繰り返せば、自分の知っている作業工程を元に自力で実装を進めることができるはずです。

自分用に解説動画を作る

今までは、自分で学んだ技術に対して技術同人誌を書き、理解を深めていました。 しかし、本を書いてから時間が経ってしまうと、自分の書いた本であっても何が書いてあるか理解できないのです。 書いたときのエピソードを思い出し、何を学んだかを思い出しながら解読している状態です。

そこで、自分の技術同人誌を使った解説動画を作ってみるといいのではないかと考えました。 こうすれば、1つの学んだことに対し、3つの時間軸が生まれます。

  • 技術同人誌を書くとき
  • 動画を作るとき
  • 動画の内容をみるとき

もちろん、自分の技術同人誌以外のものに対しても動画を作ってみてもいいと思います。 ただ、著作権の問題があるので微妙なところです。

全体に関する考察

とりあえず秋の技術書典(仮)まで上記の4つを試してみたいと思います。

…こう考えてみると、プログラムを書くよりもインフラ系の構築の方が思考にあっているんじゃないかという気がしてきました。もっと言うと、ソフトウェアエンジニア自体向いてないのかもしれません。

ただ、インフラエンジニアもコードが書けた方が良い時代になっている感がありますし、カンファレンスや技術書典で盛り上がるのはプログラミングの話題です。盛り上がってる話の内容についていきたいじゃないですか。

さらに、自分と同じように「文章を読んで理解するのが苦手」な人がソフトウェアエンジニアの職に付いているケースもそこそこあるはずです。

湊川あいさんの『わかばちゃんと学ぶ Git使い方入門』という本が強く支持されていることからも、この仮説は支持できるのではないかと予想します。この本が強い理由は、解説がわかりやすい + Gitの解説を文字で理解するのが難しい人が漫画を見て概念を把握できる点にあるのでしょう。

webdesign-manga.com

人間の特性で「向いてない」と切り捨てるのは簡単ですが、やりたいことがある人が特性上向いてないから諦める、というのは虚しいことです。なんとかならないものかな、と都度考えてしまいます。

これとは別に、認知特性に関する論文が心理学研究とかに載っているのか気になってきました。 CiNiiで調べてみると、本間先生は医学雑誌に論文を投稿しているようですから「エセ」系統ではないと考えられます。

こちらも合わせて調査してみることにします。


  1. 大学は心理学専攻だったので…。