OJT中はタスクごとに振り返りをやるといい

OJTをするときはタスクが終わったごとに振り返りを行うと、トレーニーが成長しやすいなと感じた。

振り返り方法

タスクが終わりそうなタイミングで振り返り用シートを準備する。

## うまくできたなと思うことはあるか?

ある / ない + どうしてそう思うか

## もっとこうしておけば良かったなと思うことはあるか?

ある / ない + どうしてそう思うか

## 見積もり通りに終わったか?

終わった / 終わらない + どうしてそう思うか

## 前回の反省を活かせたか?

※反省をコピー&ペーストで転記する

活かせた / 活かせていない + どうしてそう思うか

次に、タスク完了直後に振り返りシートを渡し、1時間程度のミーティングをセットする。新卒だと話す内容をまとめるのに時間がかかることが多いため、30分ではなく1時間取っておく。重要なのは自分の考えをまとめて次に活かすことなので、ここには時間を投資した方が良いと考えている。フィードバックなどすると、1時間半くらいかかってしまうこともある。でも、これは必要なコミュニケーションかなと思う。

振り返りシートはGoogleドキュメントやNotionなど、書いてきてもらったものにコメントがつけられるものが良い。事前に確認して気になるところにコメントを入れておく、などできるため。共同編集できるものが望ましい。

振り返りシートは振り返りのミーティングまでに記載してもらう。考えることに時間がかかるのだから、あらかじめ埋めてもらわないと1時間が溶けてしまう。年上の人に萎縮して意見が言えない、会話しているうちに(意図しなくても)振り返り内容がトレーナーに操作されてしまう可能性を防ぐ、という効果もある。ちゃんと一人で考えてきたものに対してフィードバックしないと次の改善に繋がらない。

振り返りミーティングをどう進めるか

まず、書いた内容を説明してもらう。見出しごとに一度とめ、フィードバックを行う。フィードバック内容は

  • 第三者から見た印象
    • 〇〇の行動はこのように見えていた・こういう印象を持った、などを伝える
  • OJT終了後の目標 1から外れていないか、目標達成のための項目がクリアできていそうか伝える
  • 前回の取り組みから改善された / されていない点があれば伝える
    • 具体的な行動を示し「〇〇だから改善された」と伝えるのがベスト

話した内容の議事メモはOJTトレーナー側で実施する。仕事の経験が浅い人は書記の経験がない。書記を行うにはある程度のスキルが必要。重要なのは振り返りをすることなので、トレーニーに重要なこと以外をやらせないようにする。

複数回同じ内容を振り返っている場合、改善に向けて具体的な対策を一緒に検討する。振り返りは事前に書いてもらっているので、トレーナー側は改善事項はないか、どのように改善すると良さそうか検討した上で参加する。

振り返りで工夫している点など

まず、できた・できない等、評価するような文言を使わないようにする。事実と解釈について集中して考えるようにさせた方が良い。 仕事がうまく進むかどうかは周囲の環境や運にも左右されるため、コントロールできない。コントロールできないものに対して毎回評価してしまうと落ち込んでしまう。そうではなく、コントロールできるもの=自分の行動に注目する。

ポイントは前回の反省を活かせたか?という部分で、2回目以降の振り返りでは必ず入れる。前回のフィードバック内容がきちんと活かされているか確認するため。フィードバックをすぐ返すことが重要なのは『Team Geek Google のギークたちはいかにしてチームを作るのか』にも書いてある。

プログラマには強いフィードバックループが必要だ。新しい関数を書いてコンパイルする。テストを追加してコンパイルする。リファクタリングしてコンパイルする。コードを書いたらすぐにタイポやバグを修正する。コンパイラには常に相棒としてそばにいてほしい。コードを入力すると同時にコンパイルできる開発環境もある。こうしてコードの品質を保ち、ソフトウェアを少しずつ正しい方向に進化させるのだ。

フィードバックループが必要なのは教育面でも同じだと思う。2

特に他人と比較してしまうトレーニーであればあるほど、振り返りは重要となる。人と、ではなく過去の自分と比較することで自信をつけてもらいやすいため。他者はコントロールできないが、自分の取り組みはコントロールできる。コントロールできる箇所に目を向けてもらえるように誘導する。

事実に目を向けるため、定点観測を行いたい。そのため振り返りの見出しは固定した方が良い。変わる部分は前回の反省の部分のみ。何回も実施するうちに、最初と比較して文章や振り返り内容も改善されてくる。比較して成長したな、という実感も持ちやすい。

まとめ

  • フィードバックループを回すと成長しやすい
  • タスクが終わったごとに振り返る
  • 振り返りはお互い事前準備が必要
  • コントロールできるところに目を向ける

参考URL


  1. 大半の会社はOJT終了後の目標を立てさせられるはずである。
  2. Team Geekにもチームで作業することでフィードバックループを素早く回すことが重要、という旨が説明されている。