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『バーフバリ 王の凱旋』にマネージャーの素養と本質を見た

『バーフバリ 王の凱旋』完全版を観てきました。後編のときは鑑賞できなかったので、完全版が公開されて嬉しい限りです。

バーフバリは絶叫上映が開催されるなど、熱狂的な広がりをみせている作品です。平日お昼の回でも半数以上の席が埋まっていることからも、人気ぶりを伺うことができます。

なぜここまで盛り上がるのでしょうか?

バーフバリが全編を通して民(=マネジメントされる側)の目線に立った映画であり、民が臨むマネージャーが正義として君臨し続けることで、娯楽映画として楽しむことができる作品だったことが要因の中にあるのではないかと考えました。

もちろん、踊り・音楽・アクション・映像も娯楽映画として面白いから、と思いますが、今回は話題から割愛します。1

この先は映画の内容に触れるので、事前情報0で観たい方は先に映画館へ行ってください。

言葉の定義について

ここではマネージャー・現場サブリーダー・一般労働者を次のように言い換えて話を進めます。

  • マネージャー:バーフバリや国母シヴァガミを始めとするマヒシュマティ王国の王家
  • 現場サブリーダー:王家に仕える奴隷のカッタッパや小国クンタラ王国クマラ・ヴァルマなど、作中でのキーキャラクターとなるがマヒシュマティ王家ではない者
  • 一般労働者:上記以外の民・兵士・奴隷など

民は戦前で戦うプレイングマネージャーに敬服する

見積もりという工程は、作業にどれだけの時間がかかるのかを申告するだけなので、非常に簡単で単純な行為であるように思われます。 ~中略~ おおよそ「やったことがない」ことに対して、どれだけの時間がかかるのかを想定するのは難しいものです。2

やったことがない作業を短期で仕上げることを求めるマネージャーは多く存在します。 しかし、『エンジニアリング組織論への招待~不確実性に向き合う思考と組織のリファクタリング』でも述べられているように「自分が実施したことがない作業にかかる時間・実現性を予測することは難しい」のです。その結果、マネージャーが無理難題を押し付けてくるため一般労働者が疲弊する事態が発生します。

では、バーフバリとバラーラデーヴァを比較してみましょう。

クンタラ王国が賊に攻め入られたとき、バーフバリは常に戦いの最前線にいました。持ち前の体術・剣術・弓さばきで敵をなぎ倒していきます。それに加えて雄牛を利用して味方の兵を守りつつ敵を倒す策略や、ダムを決壊させて敵を水攻めする策を練り、これも戦前の最前線に立ちながら指揮をとっています。結果、バーフバリは「あなたは救いの神だ」と讃えられるのです。

マヒシュマティ王国を追放され、民と一緒に農作業をするバーフバリ。滝からの水汲みや石の加工を自分でも行いつつ、「どうすれば民が楽になるか」を考え解決案を示し、実行します。ここでもバーフバリは「あなたは真の王だ」と崇められます。

一方のバラーラデーヴァはどうでしょうか。バラーラデーヴァも最後の戦いで戦前に立つシーンがありますが、全て機械式の戦車に乗って登場します。2頭の雄牛に戦車を引かせ、手裏剣のような刃物を回転させつつ敵をなぎ倒す戦車。見た目も威力も抜群です。3
バラーラデーヴァは一見、戦前に立っているように見えます。しかし、全て機械≒他者に戦闘させています。

デーヴァセーナに惚れ込んだときも、国母シヴァガミの名を借りて婚約を申し込んでいます。他者に隠れて自分の思い通りにことが進むように仕向けているのが特徴的ですね。

最前線で戦い、民を思って知恵をしぼるバーフバリと他人に手を下させ責任を押し付けるバラーラデーヴァ。どちらが民に慕われるでしょうか?また、戦いを仕事に置き換えれば、どのようなマネージャーが慕われるかは一目瞭然です。

バーフバリは現代のプレイングマネージャーそのものであり、実力も相まって神に等しい存在なのです。

民は間違いを認め跪くマネージャーに頭を垂れる

バーフバリで特徴的なのは良いマネージャーは自分が間違いを犯したことに気づいたとき、自分の間違いを認めて謝罪することです。

例えば、クンタラ王国デーヴァセーナは、国母シヴァガミから金銀財宝の贈り物と共に実子バラーラデーヴァとの婚姻を申し出られますが、「姿もみせない小心者との婚約は断る」と侮辱の言葉と共に婚約の受け入れ拒否の返答を送り返します。

結局なんやかんやあってデーヴァセーナはバーフバリと共にマヒシュマティ王国に向かうのですが、ここでデーヴァセーナはシヴァガミに侮辱の言葉を吐いたことを大勢の群衆の前で謝罪します。4

また、シヴァガミはバラーラデーヴァにそそのかされる形でカッタッパにバーフバリの暗殺命令を出してしまいます。バーフバリの暗殺後、カッタッパから真相を聞かされたシヴァガミは自分の過ちに気づき、デーヴァセーナに許しを請います。

自分の間違いを認め、誰かの前で謝罪するのは簡単なことではありません。誰にでもプライドはありますし、見栄っ張りな部分もあります。しかし、本物の指導者は自分の間違いを認めるのです。そして深々と謝罪します。その姿をみた民は「ああ、この人にならついていっても大丈夫だ」と安堵し、頭を垂れるのです。

民は知性を武器に敵を制圧するマネージャーを崇める

  • 兵士ではなく、雄牛と水で敵を制した父親
  • 敵に特攻するのではなく、ヤシの木を利用して敵を迎え撃った息子

バーフバリ親子は、大軍に真正面から切り込みませんでした。被害をなるべく抑え、かつ戦いに勝とう(成果を得よう)とするバーフバリは、まさに民が求めるマネジメントスタイルです。ただ単に大軍で敵に突っ込んで被害者を多く出し、敵味方問わず攻撃をしかけたバラーラデーヴァとは大違いです。

メテオフォール型開発のように、仮にプロジェクトが成功した場合でも、健康を害した一般労働者が多く発生した場合、マネージャーのマネジメントに良くないところがあったと言わざるを得ません。

単純労働の集約で問題を解決しようとせず、自分の知恵と工夫でマネジメントをする指導者。そのような偉大なる人物を民は「大いなる指導者」と崇め讃えるのです。バーフバリのように。

観ていない人、ぜひ映画館へ

長々と書きましたが、要約するとバーフバリはクッソ面白いし、民が求める指導者を体現しているバーフバリは神ということです。バーフバリにマネジメントの英知を授けて頂くのです。なんとありがたいことでしょう。

あ、そうそう、バーフバリは絶対映画館で観た方が良いです。低音とパーカッションの鼓動を全身に感じることができるのは映画館だけです。

前編を観ていなくても十分楽しめますよ。上映館は公式HPで確認ください。

baahubali-movie.com

新宿ピカデリー爆音映画祭では、バーフバリの前後編どちらも観ることができるようですね。絶対チケット買って行くわ。

待ってろ新宿ピカデリー!ねこちゃんと一緒に王を讃えに行ったるからな!


  1. 個人的にはミュージカル映画のように、音楽と演者さんの動きがリンクしているところが観ていて気持ちがよかったです。あと、殺陣で何回か斬り合うのは日本の時代劇と一緒やね…。と考えてしまいました。インド映画面白いね。

  2. エンジニアリング組織論への招待~不確実性に向き合う思考と組織のリファクタリング

  3. もちろん、腹筋への破壊力もバッチリです。予告編で観られるので気になる方は是非ご覧になってください。

  4. バーフバリもデーヴァセーナに不敬を謝っていたと思うのですが、どこのシーンか忘れてしまいました。