Slackのtimesチャンネル文化が好きじゃない

speakerdeck.com

はてなブックマークやxでこの資料が話題になっていた。80%くらいは同意できるが、Slackの部分は個人的にはうーんと思った。特にtimesが好きではなくて、「timesじゃなくてチケット管理システムを使え」と思ってしまった。なんで好きじゃないんだろう?と思ったので整理しておく。

情報が垂れ流しだと探しづらいから

timesには思考や調べたことを投稿して、後から見返せるようにしましょうという役割がある。でもそれ、本当に見返せるのだろうか?Slackの検索クエリはGoogleほど絞り込みが効かないし、部分一致の検索でもかなりフィルタリングされた情報がヒットする印象がある。本当に探し出せる気がしない。

また、投稿した人ではない誰かが仕事を引き継いだときに困るんじゃないか、という思いが拭えなくて好きじゃない。例えばエンジニアの退職でリポジトリのメンテを引き継ぐことになったとき、調査内容がtimesに垂れ流しされていたら引き継ぎ側は探せるんだろうか。退職したら関連チャンネルは全削除です〜なんてルールだったらまず無理だし、timesのいつぐらいにある?とか情報がなければ検索でヒットさせるのに時間がかかると思う。そもそも引き継ぎしたばかりではコンテキストがわからないんだからクエリを作れない気がする。

それだったら、チケットシステム(GitHub IssueとかBacklogとかJiraとか)にちゃんと情報を集約して書いて、調査状況が変わったら都度更新する方がよっぽどマシだと思ってしまう。メンバー交代があってもgit commitから辿ることができる1。それに、情報を探す時間も省ける。

Slack検索してる暇を開発やその他の時間に当てた方がよっぽど効率がいいのではないか、と感じてしまう。同じ理由で参考URLも全部チケットに集約して欲しい。次やってきた人はどーすんの?と思ってしまう。

仕事の状況は専用のツールで管理すべきでないかと思うから

仕事のTODOをtimesに書いて、状況が変わったら投稿すると助けてくれる。そんないいことが書いてある。でもそれ、同業者以外の人は困るんじゃないか?何らかのマネージャー職にそんな暇はあると思えない。進捗を一番知りたいのはマネージャー系の職務を持つ人では?

となるとチケット管理システムで進捗状況がわかるようにマメに更新するのがみんな幸せになるんじゃないのと思ってしまう。

察して状態になるのが好きじゃないから

不明点を書いとけば助けてくれるよ、みたいな他力本願な姿勢が好きじゃない。困っていることがあるならチケットに調査状況を集約して、そのURLをSlackに添付して質問に行けば終わるんじゃないのと思ってしまう。人に自分の状態を察してもらって手助けしてほしい、なんて本当にプロの態度なんだろうか?

プロだったら仕事を終わらせることに注力すべきで、聞かなきゃ進まないんだったらさっさと自分で聞きに行けと思う。こういうのがあると状況が悪くなったときに隠すみたいなのが冗長される。だから察してコミュニケーションが好きじゃないんだと感じる。

タバコ部屋っぽくて好きじゃないから

タバコ部屋はタバコを吸ってる人はそこで話を決めちゃって、吸わない人は意思決定に関与できない。だから嫌われるというやつ。timesチャンネルで議論して方向性を決めてコミュニケーション促進ってやつと何が違うのだろうか。結局そこのtimesチャンネルがタバコ部屋の代わりになってるだけじゃんと思う。

なんでタバコ部屋はダメでtimesはいいのか?それ自分に都合がいいからだけなのでは。なんかせこいよな〜と思う。

Slackに張り付いてないでまずはお前の仕事を終わらせろやと思うから

100人いたら100times見るのか?1timesに30投稿あったら一体何分使ってその投稿を追いかけるのだろうか。返信して盛り上がってもいいけど、肝心の仕事は終わるのか?と思ってしまう。期日ギリギリ、または間に合わないならそんなことしてる場合じゃないだろう、と。

与えられたタスクを仕上げて残り時間でダラダラするならわかる。自分もビルド待ちのときは社内資料のURLや関係ないSlackチャンネルを除いて状況把握とかやっている。でもそれはやるべき作業チケットがレビュー待ちなり、終わるなりした後である。times好きな人はtimesが一番、仕事は二の次という印象があって「いや、働けよ」と思ってしまう。

お前はどうしているんだ

ならお前はどうしてるんだよ、という話になる。自分はGitHub Issueを使ってタスク管理する環境なので、全てGitHub Issueに集約している。チェックボックスにすればTODOリストになるし、GitHub Projectsとも連動できるのでこれをマメに更新して「チェックのつき方でどこまでいったかすぐわかる」ようにしている。

github.com

これは仕事全く関係ない個人リポジトリだが、基本の形は仕事とはそんなに変わらない。仕事だともっと文章構造にも気を遣う。例えばエラーログなどの補足情報は折りたたんだり、コードブロックはハイライトしたり、という感じ。決定的に変えているのは調査内容のまとめを作ってIssueの先頭コメントに書き戻す、またはURLリンクを貼ること。これは個人だとめんどくさ満足して終わらせてしまうが2、仕事の場では「次の人はそれでは困る」ので考察や結果をしっかりまとめて書き残している。

後から来た人が困らないように情報を集約して困らないようにしたい、自分が過去とても困ったから。というモチベーションでやっている。

所感

timesでプロの仕事が成り立つのは次の要件を満たしたときだけで、そりゃ何でも成立するよと思う。ジュニアではない = 0から手助けなしでチケットをクローズできる人とする。

  • ジュニアメンバー、特に要介護状態のメンバーがいない
  • 仕事を期日通りに仕上げるのが普通の人しかいない
  • 仕様や障害など、クリティカルな内容はオープンな場ですぐ議論できるほどのリテラシーがある
  • 状況が悪くなった場合は隠さずすぐ報告できる

下3つは当たり前の話だが、3つを満たしてる人には中々出会わない。特に下2つ。どちらか欠けていることが多い。過去の職場3のどこにでもいたので、もう職場環境問わずいるものだと考えている。ただ、職場によってはtimesが成り立つ人が多いところと少ないところがあるので、職場レベルが高いところはしっかりスクリーニングされてる印象がある。スクリーニングされているところならtimesでいいんだろうな。

誰かtimesで困ってない会社リストとか作ってくれたら転職先の参考になるんじゃないだろうか。自分がそこに行けるかは別として。

参考URL


  1. コミットにチケット番号を書くルールなら絶対探せる。なくてもmerge記録から逆引きできる。
  2. 代わりに個人での検証はブログにしてまとめているからいいかなと…。
  3. 過去記事を読んで欲しいが何回か転職経験がある。お前の会社レベルが〜とかではないかなと思う。思いたい…!